敏感肌を知る
街のドラッグストアやコスメショップ、ファッション雑誌などで、「敏感肌対策」をうたった化粧品を目にする機会はたいへん多いと思います。日常において、一般の方々だけでなく私達皮膚科医も、安易に「敏感肌」という言葉を使っているのが現状です。
ところが、「敏感肌」は一般的によく使われている言葉にもかかわらず、皮膚科の教科書にはそのような項目はありません。医療現場において、非常に多く遭遇する疾患でもあるのに、きちんとした定義もなく、系統だった治療や患者さん指導も行われていません。
「敏感肌」とは何か・・・・?
「慣れない化粧品を遣ったら、肌が赤くなってかゆい」「ほんのちょっと日に当たっただけで、赤い発疹が出た」「成人になってもニキビが治らない」「アトピー性皮膚炎でたびたび炎症が悪化する」「季節の変わり目になると、いつも肌がカサついて目の周りなどがかゆくなる」・・・・。
皮膚科の日常診療の場で「よく出会う」そういったトラブルが起きている肌を、私たちはいつからか「敏感肌」と呼ぶようになりました。
このように症状が多岐にわたる「敏感肌」のイメージや捉え方は、皮膚科専門医であってもそれぞれ異なります。
今回は、私が臨床の現場で患者さんと向き合いながら「敏感肌」について考えてきたこと、伝えたいことの中から、主に頭頸部(顔面と頭皮、首)の「敏感肌」について私なりに分類し、診断と治療、患者さん指導のポイントを整理しました。
日々、皮膚のケアに携わるあらゆる業種の人たちの現場ではもちろん、「敏感肌」だと感じている一般の方々にも、この本がお役にたてれば嬉しい限りです。
漆畑 修(Dr.ウル)
宇野皮膚科医院 院長。東邦大学客員教授。皮膚科専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。The Best Doctors in Japan (2010―2017)。専門は皮膚科学、特にヘルペス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学、臨床免疫学、臨床栄養学。
〉関連情報
「敏感肌の診療 ~スキンケアの指導からタイプの治療まで~」漆畑 修(著)
メディカルレビュー社刊(2016年2月):
http://www.m-review.co.jp/book/detail/978-4-7792-1653-4