マックスが疾走するオヤジ、
アブラジョーに一目ぼれしたようです
「世界一無名の大御所、アブラジョーです!」
そう言って登場したバンドに、ぼくは吸い込まれるように魅入られてしまった。忘れもしない、下北沢のライブハウス「屋根裏」での出会いだった。たぶん、こういうのを一目ぼれというのだと思う。
アブラジョーは、2003年から「音楽界からの小僧追放」をスローガンに、熱~いオヤジのロックンロール魂を爆音に込めて疾走し続けている3ピースバンドだ。
バンド名は、敬遠されるアブラギッシュなオヤジのことなのか、それとも脂がのった大人の男という意味なのだろうか。ぼく的には、脂がのった最高にイケてるオヤジというイメージで、派手なシャツの着こなしにしろ、なんにしろ、その雰囲気は小僧には絶対マネできない。彼らの曲はどれもファンキーでノリがよくて、体が勝手にリズムにのまれていってしまうようなロック。感傷的な湿った曲は1曲もない。5月に発表された新曲が、今までになくアコースティック調でメロウ(mellow)だが、曲名は皮肉にもガツンと『悪質』・・、さすがだ。
アブラジョーの看板曲は『外国製のギター』。一番アブラっぽく、これを聴かずにアブラジョーは語れない。『小僧ファッキュー』という曲も衝撃的で気にいっている。アブラさんに「小僧ファッキュー!」と言われるくらいにギターが上手くなれたらと思うこの頃だ。
何よりも、アブラジョーの凄いところは、メンバー一人一人の楽器の上手さと、一曲一曲のパフォーマンスがいつも完璧なことだ。爆音であっても、ハイスピードであっても、オーバーアクションでプレイしていても、楽器はもとより、ヴォーカルやコーラスに至るまで、微塵のまごつきもブレもない。観客は安心してアブラロックにダ~イブ、身も心もゆだねることができる。アブラりゅうたさん(Vo.Gt.)の笑いを誘う「オヤジトーク」も相まって、緊張もほぐれ観客みんなが知りあいのような和やかな雰囲気になり、最後は熱気と歓声と拍手に包まれる。熱いシャワーをあびて「リフレーッシュ!」するような爽快感、まさにライブハウスでの醍醐味を味あわせてくれる、正真正銘の “大御所” バンドだ。
ファンキーなアブラシャワーでリフレッシュしてみたいのなら、彼らのライブに行くのが一番だが、オフィシャルDVD『アブラジョーがやってくる イヤ!イヤ!イヤァ!Official Bootleg DVD』でライブの雰囲気を体感することもできる。でも一度、バーチャルであってもアブラの洗礼を受けてしまうと、リアルライブに足を運ばずにはいられなくなってしまうかもしれない。この「アブラ」は、どうもクセになるらしい。
文:マックス・M・K・S
〉関連情報
アブラジョー オフィシャルサイト:http://www.aburajoe.com