今、私達が出来る事、出来ない事
―― 操業5割の自動車業界
「今、私達が出来る事!!」~~。未曾有の被害をもたらした東日本大震災の直後から、テレビのCMなどで耳にタコができるほど聞かされているセリフだが、それと同じフレーズがホンダの埼玉製作所(狭山市)内にある組み立てラインの電光掲示板にも流れていた。
同製作所では震災から1か月が過ぎてようやく再開したものの、本格稼働には至っていない。掲示板にはその日の生産台数の計画と実績が一目でわかるように表示されるが、例えば、工場を取材した4月18日午前10時23分の時点では、計画「0台」に対して実績「37台」。
同工場は、ミニバンの「フリード」や「オデッセイ」などを生産しているが、部品不足で操業率は5割程度。操業時間もこの日は午前9時30分からの開始で、通常の半分の8時間ほどだという。計画を「0台」としているのは入力のミスではない。現時点では「はっきりした見通しを立てることが困難」(工場関係者)だからだそうだ。
ホンダに限らず、本来、自動車工場の正門入口は部品などを輸送するトラックがひんぱんに出入りして活気にあふれているが、そんな日常とは余りにもかけ離れている光景にはショックを受けた。
同製作所の片山行所長は「生産再開が企業として最大の社会貢献であり、1日も早く通常操業に戻したい」と力説したが、静まり返っている工場内や周辺を見渡す限り、平常に戻るまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
ふく☆ぺん
駿河堂MaG編集部 編集顧問