帯状疱疹と単純ヘルペス
たいていの人が、帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気のなまえを聞いたことがあると思います。
帯状疱疹の原因は、小さい頃にかかる「水ぼうそう」のウイルスです。このウイルスは、水ぼうそうが治ったあとも神経のなかに潜伏していて、数年~数十年たって免疫力が低下したときに、再び活動を始めます。神経を傷つけて痛みを起こし、その神経に沿って皮膚に帯状(おびじょう)に水ぶくれが出る病気が帯状疱疹です。抗ウイルス薬を用いて、早期から正しい治療法をすれば治ってしまう病気ですが、高齢の人や体力が落ちていて重症になった人の場合、帯状疱疹後神経痛(PHN)という、つらい神経痛が残ることがあります。
いま、この帯状疱疹にかかる人がとても多くなっています。誰でもかかる可能性がある身近な病気であるにもかかわらず、診断が正しくなかったり、治療を始めるのが遅れたりしたために、後遺症が残ってしまう例が少なくありません。治療薬の研究・開発が進んでいるだけでなく、ワクチンによる予防法もあります。
一方、単純ヘルペスという病気は、帯状疱疹のウイルスとは種類の違うヘルペスウイルスによって起こります。唇や目の角膜、下半身など、からだのあちこちに出る病気で、帯状疱疹よりも症状は軽いものの、体力が落ちると何度も再発を繰り返すことが問題です。帯状疱疹と単純ヘルペスを混同している人もたくさんいます。
このたび出版した「痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス」は、帯状疱疹にかかったばかりの人はもちろん、後遺症の神経痛に悩んでいる人、帯状疱疹にかからない方法を知りたい人、あるいは単純ヘルペスの再発を予防したい人など、みなさんのに役立つ最新の情報を載せてあります。少子高齢化・ストレス社会を健やかに生き抜くために、この本を読んで正しい知識をインプットして、病気の早期治療と、後遺症や再発の予防に役立てていただけるとうれしく思います。
漆畑 修(Dr.ウル)
宇野皮膚科医院 院長。東邦大学客員教授。皮膚科専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。The Best Doctors in Japan (2010―2017)。専門は皮膚科学、特にヘルペス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学、臨床免疫学、臨床栄養学。
〉関連情報
「痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス」漆畑 修(著)
メディカルトリビューン刊(2011年5月):
https://www.amazon.co.jp/dp/4895893650