「電車通勤をしています」
株式会社ホーマーイオン研究所 社長 秋本亮介さん
「マイカーを運転するのはゴルフに行くときぐらいで、毎日、電車通勤をしています」と語るのは、低周波治療器やスキンケア基礎化粧品などの製造・販売会社を経営するホーマーイオン研究所社長の秋本亮介さん。
秋本さんは同社に入社する前は大手自動車メーカーの日産自動車に勤務。社内でもクルマ好きが多く、ナンバー2で専務の神谷章平さんもかつては日産のモータースポーツ関連事業に従事し、その神谷さんらがドライバーをつとめた自動車レースの全日本ストッカー選手権シリーズでは「ホーマーイオン」が単独スポンサーとして参戦したこともあるほど。
しかし、自動車の排気ガスが地球温暖化の原因でもある環境破壊をもたらすことは言うまでもない。勿論、秋本さんが電車通勤を続けているのは低炭素社会の実現を目指すという大義名分もあるが、それはともかく、駅まで歩いたり階段を乗り降りすれば「自分の健康維持のための運動にもなる。しかも、車内では中刷り広告や乗客のしぐさやファッションなどを観察することで、世の中のトレンド情報を身近にキャッチすることもできる」と、一石二鳥も三鳥にもなると力説する。
同社の創業は昭和6年(1931年)で、先々代が鎌倉市で高周波電気治療所を開設したのがきっかけ。昭和38年(1963年)、秋本さんは同社の前身「相互低周波株式会社」の設立とともに取締役に就任。当時、大学病院の臨床データを取得し、新機種の「ホーマーイオン治療器」を開発したが、そのキャッチフレーズが「健康で豊かな家庭をめざす」だった。
その言葉は半世紀近くが過ぎた今でもめんめんと受け継がれている。同社の治療機器は「ホーマーイオン」、基礎化粧品は「モイスティーヌ」というのがブランド名だが、美と健康をテーマに人々が健やかに、美しく年を重ねていけるための商品づくり一筋に取り組んでいる。秋本さん自身も長年にわたり培われたその功績が高く評価されて、平成13年(2001年)には、藍綬褒章を受章した。
会社も本人も健康第一を掲げている秋本さんだが、還暦を過ぎたばかりの10年前には、食道がんが見つかって入院治療を余儀なくされた。2年前にも喉頭がんが見つかったが、初期の症状で大事には至らなかったという。「一病息災という意味がよくわかった」とほほえむ。
秋本さんは、今年3月に72歳を迎える。がんを患って以来、健康への意識はより強いものになった。ロマンスグレーがよく似合う髪型に背筋はピーンと伸びて加齢に伴う老いや、がん治療による衰えを全く感じさせない。ダンディーで若々しい容姿には驚かされる。
その秘密はどこにあるのか。「電車通勤」も健康法の一つだが、パワーアップのためには「免疫力を高めることが大切」といい、「プロポリスなどの健康補助食品よりも、中国に出掛けた時に調合してもらう漢方薬が効果的」と打ち明けてくれた。
趣味を尋ねると「仕事以外に何だろうか?」と照れ笑いしながらも、ゴルフは「二十歳ごろから始めて、ピーク時のハンディはシングルに近い」というほどの腕前。その秋本さんは「今では最後のホールまでラウンドできれば満足です」と謙遜するが、健康のためにも月に3~4回のゴルフを楽しんでいる。
インタビュー・文:福田 俊之
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株式会社 ホーマーイオン研究所:http://www.homerion.co.jp