新型コロナ感染症でマスクの肌トラブルが激増!
「マスク皮膚障害」の予防
2020年はコロナで始まりコロナで終わろうとしています。新型コロナウイルス感染症予防のため、日本はまさに「一億総マスク」の状況です。多くの人々がマスクを毎日のように長時間するようになって、皮膚科外来ではマスクによる肌荒れ、皮膚炎、ニキビの新生・増悪の患者さんが増加しています。特に今年の長い梅雨から夏の猛暑の時期に、これらマスク皮膚障害の患者さんが激増しました。
敏感肌に多いマスク皮膚障害
マスク皮膚障害ではマスクの触れる顔面頬部、口囲(口のまわり)、顎に赤みを伴った肌荒れやニキビが生じ易く、マスク装着による湿潤や摩擦によって肌のバリア機能が低下し、汗や化粧品、口腔内雑菌などの刺激、あるいは物理的刺激が加わり生じるものと思われます。
診察していて気づくことは、元々敏感肌で通院して軽快していた患者さんが増悪して来院するか、初診の患者さんでは診察をすると敏感肌をベースに持っている方々が多い印象です。マスクをすれば全員がマスク皮膚障害を生じるのではなく、敏感肌体質を持った4割ほどの方々にいくつかの誘因が加わって発症するものと考えています。
マスクの選び方、3つのポイント
マスク皮膚障害を予防するにはマスクの選び方がポイントとなります。敏感肌体質の方はマスクの材質、大きさ、形などにこだわって選びましょう。
① 材質
ガーゼや布マスクなどの肌触りの良いものを選びます。一般的な不織布(サージカル)マスクは刺激の強いものが多いので、使用する際は下に「インナーマスク」を装着するのが良いでしょう。
② 大きさ
マスク選びの大切なポイントで、サイズが大きくても小さくても刺激があるので自分の顔にフィットしたマスクを見つけてください。
③ 形
立体構造タイプを選ぶか、平面マスクの場合は下にインナーマスクを装着して、肌にマスクが触れる面積を極力小さくすることが大切です。
マスク使用上の注意
マスクを長時間していると見た目は綺麗でも皮膚や口腔内の雑菌が付着していることが多いので、なるべく新しいマスクに交換することが大切です。
布タイプもこまめに交換し、よく洗った後によく濯(すす)ぎ、完全に乾燥させてから再使用してください。洗濯洗剤の界面活性剤や蛍光染料に対する接触アレルギーを持っている方は洗剤が残っていると刺激になるので、「固形の洗濯石鹸」を使うと良いでしょう。
正しいスキンケアで予防。改善しなければ早めに皮膚科専門医へ
もともと敏感肌の方がマスク皮膚障害を起こし易いので、刺激の少ない洗顔料や保湿剤、敏感肌用化粧品でのスキンケアをしっかり行って、予防することが大切です。
また、肌トラブルをそのままにしておくと慢性化し炎症後紅斑(PIE)や色素沈着(PIH)が残るので、早めに皮膚科専門医に受診することも大切です。
漆畑 修(Dr.ウル)
宇野皮膚科医院 院長。東邦大学客員教授。皮膚科専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。The Best Doctors in Japan (2010―2019)。専門は皮膚科学、特にヘルペス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学、臨床免疫学、臨床栄養学。
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コンテス化粧品 製品に関しましては、(有)駿河堂のHPをご覧ください。
https://www.surugado-hp.jp/product/comtesse/
企業インタビュー記事はこちら。
https://surugado-mag.jp/beauty-health/heterk-eccentric-company-visit-001
「敏感肌の診療~スキンケアの指導からタイプ別の治療まで~」
漆畑 修(著) メディカルレビュー社刊(2016年2月)