「東京モーターショー」10月24日開幕
未来のモビリティを体感
10月24日から東京ビッグサイト(東京都江東区)を中心に「東京モーターショー」が開かれる。60余年の”自動車の祭典”の歴史の中でも、今回はとりわけ大きな意味を持つイベントとなりそうだ。日本自動車工業会が主催する日本の自動車業界最大のショーであることに変わりはないが、今回は、パナソニックやNTTをはじめ情報通信や電機メーカーなどの異業種とも連携し、業界を越えて未来のモビリティ社会を様々な領域からアピールすることを試みるようで、11月4日までの12日間にわたり、従来よりもバラエティに富んだショーが期待される。
パナソニックやNTTなど異業種とも連携
東京モーターショーの前身となる「全日本自動車ショウ」が、東京の日比谷公園で初めて開かれたのは1954年のことであり、今年で65年、46回を数える。長い年月の歩みのなかで、ショーに求められるニーズは時代の流れとともに大きな変遷を遂げてきた。第1回開催当時の50年代の日本では欧米に比べると自動車そのものの普及率は低く、自動車という商品が消費財であることを消費者にアピールするという意味合いが強かった。やがて高度経済成長時代の60年代以降は、モータリゼーションの発展とともに次第に身近になった“マイカー”の見本市としての役割を担い、各社のニューモデルの展示コーナーの前には黒山の人だかりができていた。
その後は、日本市場を重視し始めた欧米の海外メーカーの参加も増え、90年代以降は国内向けの見本市ではなく、最先端の環境対応の新技術などを世界に発信する役割を担い、米国のデトロイト、ドイツのフランクフルトなどと並ぶ世界から注目される“国際ショー”に成長した。
日本の自動車メーカー各社はグローバル化の波に乗って米国や東南アジアなどの海外進出とともに世界で確固たる地位を築く一方で、おひざ元の東京モーターショーでは観客動員数が漸減するという悩ましい問題にも直面する。90年代には会場を東京晴海の国際貿易センターから展示面積の広い千葉の幕張メッセに変更したことや開催期間を延長したこともあって一時200万人を超えるほどの賑わいだった。ところが、バブル経済の崩壊、リーマンショックなどの景気後退とともに若者のクルマ離れ、さらには、世界一の自動車市場になった中国での自動車ショーの盛況ぶりに圧倒されるなどして来場者数は減少の一途。2011年からは会場を東京ビッグサイトに移し、展示内容も「環境」「安全」「IT」などのテクノロジーを中心に発信したものの、一般的に成功を収めているイベントの目安でもある100万人の壁を突破することはなかった。
新型「スカイライン」など最新モデルも一堂に
そんな背水の陣で挑む今回の東京モーターショーでは、「オープンフューチャー」をテーマに異業種とも手を取り合って未来のモビリティ社会を体感してもらうようなイベントを中心にモデルチェンジする方針だ。だが、参考出品のコンセプトカーばかりではなく、各メーカーが鳴り物入りで発表したばかりの市販車の最新モデルが一堂に会するのもモーターショーならではの魅力の一つではないだろうか。
たとえば、トヨタ自動車では、4月に小型SUVの新型「RAV4」や5月に17年ぶりに復活したスポーツカーの新型「スープラ」に次いで、9月には1966年に誕生して以来、現在、世界150以上の国と地域で、販売累計台数4750万台を超えるロングセラーカーの新型「カローラ」を発売。マツダは新型「MAZDA 3」に次いで、9月にはクロスオーバーSUVの「MAZDA CX-30」を発表したばかりである。日産自動車が7月に発表した世界初の先進運転支援技術の「プロパイロット2.0」などを搭載した新型「スカイライン」も注目で、発表から2か月で、月販目標を大きく上回る台数を受注しているという。実車に乗って触れてみるのは、カタログやネット配信の画像のイメージでは味わえない別の何かを感じる取ることができるはずである。
東京モーターショー2019
https://www.tokyo-motorshow.com/
ふく☆ぺん
駿河堂MaG編集部 編集顧問