「味覚で巡る、基本の京都」二日目
今回の取材に乗じた二泊三日の京都旅。計画するにあたり、京都に大変造詣が深く、食にも精通している方にアドバイスをいただいていましたので、朝昼晩の食事と、菓子匠巡りを中心にして、観光スケジュールを組みました。
初めて「食」を中心に巡った今回の京都旅は、意外にも、今までになく京都の風土や歴史、気質などをより興味深く感じられるものとなりました。学校で学んだ日本史から入ると面倒に思われるものも、美味しいものから入ると、すうっと京都が見えてくるような気がします。
味覚で巡る京都旅の二日目です。
(一日目はこちらから)
初心者が知るべき、京都の基本
京都は「古都」のイメージが強いですが、東京遷都(1869年)からまだ約150年と考えると、圧倒的に日本の歴史の中心地であるという、ゆるぎない存在感があります。
貴族文化をベースに、武家、町人、外来文化などが融合してきましたが、日本文化の根幹は、やはり京都で形成されたのではないかと思います。
近代化著しい昨今、外国人観光客はもとより、日本人も「日本らしさ」を求めて訪れる場所となっています。
今回の「食」中心の京都旅は、「日本らしさ」を堪能することにもなったわけですが、やはり味わうべきは「京都料理」と「京菓子」が基本。京菓子は一日目から引き続いて、また、スタンダードな京都料理を、二日目のランチでいただきました。
午前は、取材を兼ねて京都老舗菓子匠「末富」を訪問。美しい包装紙(末富ブルー)でお馴染み、編集部では「和菓子界のティファニー」と呼んでいます。菓匠会の一員で、老舗ながら大手雑誌社とコラボするなど、夢のある斬新な展開を試みられています。お店のショーケースを眺めるだけでも、和の色合いの美しさと、ふんわりとした優しい印象に、心が和みます。
取材後、錦市場や百貨店といった京都の食が集中する四条界隈へ移動し、京料理「田ごと」本店にてランチ。基本の京料理を味わうならここ、ということである方からご紹介いただいたお店です。賑やかな大通りに面していながら、静けさを感じる落ち着いた雰囲気と、和服のスタッフ。季節の食材を大切にした会席料理。美しさと品のよいお味に、食べるだけではない、和食の精神のようなものを改めて感じました。京都駅や百貨店にも支店があり、手軽に京都料理をいただくこともできます。
さて、ランチ後は、今回の取材旅行の要。後白河法皇御所聖跡・天台宗「法住寺」へと向かいました。京都といえば、やはり皇族、貴族の都としての歴史が軸となりますが、その中でも波乱万丈、華々しい時代を担った後白河法皇の御陵(御墓)があります。その御陵を守護する法住寺は、かつては後白河法皇の御所の中心でした。隣接する三十三間堂は、後白河法皇が御所内に創建したものです。
このような京都駅近くに、後白河法皇の御陵があることを知らなかった編集部。三十三間堂を拝観する前に、創建者である後白河法皇ゆかりの法住寺を訪れてみるべし。
要の取材を終え、夕食まで少し時間がありましたので、お西さんの愛称で親しまれる西本願寺を拝観。親鸞聖人により12世紀に開山されました。本堂をはじめとして、ほとんどが国宝か重要文化財、世界文化遺産などになっています。建造物の大きさや装飾にいたるまで、豪壮華麗、圧巻です。
お西さんから、高瀬川沿いの木屋町通り界隈へ移動。夕食は、「瓢正」にて。・・・・敷居が高いため、常連の方に予約をお願いしました。京都旅行の最終日にぴったりな、歴史ある名店です。老舗料理屋「瓢亭」で修業をされたご主人。瓢亭から受け継ぐ煮玉子、そしてなんといっても「笹巻き寿司」が有名。ノーベル賞作家・川端康成が愛した割烹としても知られています。文豪も腰掛けたであろう名店のカウンターで味わう美味しいお料理とお酒、そして、ほどよい緊張感・・・・。
静かに醸し出される京都の粋というステイタスを感じました。
京都、ちょっとお得なグループ旅
宿泊する際、4名以上でしたら、メンバーの間柄にもよりますが、一軒家の町家もおすすめです。京町家と、その周辺の日常の情緒を感じることができ、購入したお惣菜(おばんざい)やお酒、京菓子などを、シェアして味見することもできます。宿泊費用も人数で割るので、大変お得です。
更に、タクシーを予約しておくことで、玄関を出てすぐに観光に向うことができます。
タクシーは、スーツケースなどの荷物がある場合も想定して、4人ならばワゴンタクシー、5人~9名はジャンボタクシーを予約しておくのがベストです。
(今回の旅は、食事の人数が、5~7名と多かったので、決めていたお店はすべて予約し、移動は貸切のジャンボタクシー。常時混雑する京都を予定通り、スムーズに巡るには、食事と車の確保は必須です。)
写真:前田 政昭