油断大敵! これからの季節、特に気を付けて!
「光線過敏症」は気づかないうちに起きている
天気の良いある休診日、ゆっくり起きた私は、自宅マンションのベランダに出ました。植物に水をやり、咲き終わった花を摘み、ほんの10分ほどガーデニングを楽しみました。
翌日の診察日、私の上腕部にはパラパラと点状の紅斑が。ベランダに出ていたのは、ほんのちょっとの時間だから、日焼け止めは塗っていなかったのだが・・・・甘かった。幸い、紅斑は白衣の袖で隠れている。それからしばらく、光線過敏症への患者さんへの説明に妙なリアルさが加わったことは・・・・内緒です。
海や山で思い切り日光に当たった時の「日焼け」であれば、本人にも自覚がありますが、ベランダで洗濯物を干した、鉢植えに水をやったなど、日に当たったという自覚がない程度でも、敏感肌は光線過敏症になることがあるのでやっかいです。
光線過敏症とは、通常なら問題ない少量の光線を浴びただけで、皮膚に炎症が起きるものをいいます。好発部位は、日に当たったところ:顔面、特に鼻の頭や頬、耳たぶ、項部(首の後ろ)、上胸部のVゾーン、手背(手の甲)などです。
原因は、内因性、外因性、不明のものまで多種多様で、薬剤性の場合もありますし、また、成人の光線過敏症には、年齢によって起こりやすい疾患もあります。UVケアとして使用した日焼け止めが原因となる場合もあります(外国製の日焼け止めなど)。
皮膚に炎症が起きたら、できるだけはやく皮膚科を受診し、塗り薬や飲み薬で炎症を鎮めるとともに、できるだけ日に当たらないよう、日常生活を見直してみてください。
また、日頃から敏感肌だと感じている方は、敏感肌に対応する化粧品、日焼け止めなどについて皮膚科医に相談し、適したものを使用することをおすすめいたします。
*紫外線と日焼け止めについては、
「Dr.ウルのスキンケア講座 002」をご覧下さい。
漆畑 修(Dr.ウル)
宇野皮膚科医院 院長。東邦大学客員教授。皮膚科専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。The Best Doctors in Japan (2010―2019)。専門は皮膚科学、特にヘルペス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学、臨床免疫学、臨床栄養学。
〉関連情報
「敏感肌の診療~スキンケアの指導からタイプ別の治療まで~」
漆畑 修(著) メディカルレビュー社刊(2016年2月)