マックスがd-p-rというバンドを紹介します
まだ底冷えのする2/27、渋谷 CHELCEA HOTEL で華やかなイベントライブが開かれた。イベントタイトルは、『尖客晩雷(センカクバンライ)ブレイクスルーするゆーことがあるんよね?』。有名大御所ロックバンドをはじめ、女性ヴォーカリストなど、実力のある多彩なゲストが招かれた。日曜日の夜というのに、ライブ会場はまさに「先客万来」、多くのファンでにぎわった。
このイベントの主催は、「d-p-r」。メンバーは3人。スレンダーな体に、クールで統一感のあるファッション。2007年から、都内を中心に精力的な活動を行っているロックバンドだ。正しくは「Damn Perfume Reykjavik」で、訳すと「ひでぇ臭いのレイキャビク(レイキャビクはアイスランドの首都)」・・・・あまり意味はないと思われる。以前、ネットでdprを検索すると、「DPRK」(朝鮮民主主義人民共和国)にひっかかっていたが、最近では、トヨタのエンジンシステムDPRと検索結果のトップを争っている。
このバンドの特徴は、歌詞が文学的・古典的なところだ。初めて聴く人は、何がなんだかちっともわからないかもしれないが、曲のあちこちに聴きとれる難解な「熟語」が耳に残ると思う。通常はあまり使わないような熟語が多く、つい歌詞カードを見ながら意味を調べたりしてしまう。適当に英語を混ぜ込んだり、超口語調だったり、好きだの愛してるだのありきたりな言葉を連ねた薄っぺらな歌詞が横行する中、d-p-r の歌詞は日本語の美しく奥ゆかしい言い回しであふれ、一味も二味も違っている。
彼らが描くのは、社会・人生・恋愛模様など様々。クールな感性と皮肉に包まれた歌詞が、閉じ込められている何かがドッとほとばしるようなスピード感あるリズムにのって、激しく歌い上げられていく。
個人的には、「天鵞絨(ビロード)」という曲が d-p-r の特徴をリアルに感じられる一曲だと思う。また、例えてみるなら、池袋の街を舞台にした小説「デュラララ!!」(著:成田良悟)のような危うい描写が、感覚的に似ているのではないだろうか。
ワルびれているわけでもなく、正義を誇示するわけでもない。このクールさも魅力で、彼らの特徴だ。独自のスタイルを媚びずに着実に作り上げている、ぜひ注目したいバンドだ。最新のCDは「虚像のレジスタンス」。d-p-r の独特な描写が堪能できる一枚に仕上がっている。
文:マックス・M・K・S
〉関連情報
d-p-r オフィシャルサイト:http://d-p-r.net/