お風呂で全身エステ ~秋のおふろ~
紅葉も美しく、文化的行事なども多い秋は、お洒落をして出かけたい季節です。
しかし、既に、唇や手足の乾燥が気になり始めた方も多いのではないでしょうか。
鮮やかな色の口紅も、秋色のセーターも、カサカサ肌ではイマイチ気になってしまいますね。
秋は、「夏の肌疲れ」がどっと出る上に乾燥するため、夏の次に肌トラブルの多い時期です。更に、朝と夜の気温差が大きくなり、自律神経の動きが乱れやすくなります。
自律神経が乱れると、副交感神経の動きが低下して、交感神経が優位な状態になりやすいといわれています。そうなると、血管が収縮して血液循環が悪くなり、新陳代謝が低下します。肌がカサついたり、くすんだり、肌バリア機能が低下して外部の刺激に弱くなり、肌トラブルや肌老化が進みます。
もともと皮膚の弱い人たちは、大人も子供もこの「季節の変わり目」に症状が悪化します。また、シニア世代は男女ともに乾燥肌になりやすく、腹部や背中、手足なのどの肌が荒れて激しいかゆみに悩まされることも少なくありません。
こうした「季節の変わり目」の体の内側と外側のトラブルには、やはりお風呂に入ること「入浴」が、毎日自宅でできる手軽で優れた肌ケアなのです。
春から、入浴の優れた効用をお話させていただいていますが、夏にシャワーだけで済ませていた方でも、気温が下がってくる秋は、暖かいお風呂が少し恋しくなってくるのではないでしょうか。一日の疲れや汚れを、しっかり取り除くには、ゆっくりと5分以上は湯船につかることをおすすめしています。
正しいお風呂の入り方は、こちらからご覧いただければと思います。水分補給、湯船のお湯の温度には、常に気を付けてください。またこの時期は、朝晩の気温が低くなりますので、湯冷めしないように、お風呂上りのお部屋も暖かくしておきましょう。
そして、乾燥対策としての保湿を欠かさないでください。体が冷えないうちに、まだ水分が残っている肌に保湿剤をたっぷりぬりましょう。口元にも忘れずに。
季節の入浴剤も、お風呂タイムの心身回復、保湿に役立ちます。
9月は菊湯(きくゆ、血行促進・痛みの緩和・保湿・疲労回復)、10月は生姜湯(しょうがゆ、血行促進・温め・防腐、抗菌)、11月は蜜柑湯(みかんゆ、血行促進・保温・入眠・美肌)。特に蜜柑湯は、保温力が長時間続くため、湯冷めを防いで風邪をひきにくくするだけでなく、寝つきがよくなるので、睡眠不足に悩む人にもおすすめしたい季節湯です。
文:漆畑 修(Dr.ウル)
宇野皮膚科医院 院長。東邦大学客員教授。皮膚科専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。The Best Doctors in Japan (2010―2017)。専門は皮膚科学、特にヘルペス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学、臨床免疫学、臨床栄養学。
〉関連情報
「美しくなる入浴術 ~お風呂と温泉で心・からだ・素肌をきれいにする~」
漆畑 修(著) : メディカルトリビューン社刊(2013年12月)